要約:
- ゲームセオリー(ゲーム理論)とは、自分の行動次第で自分や他人の利益が変わる悩ましい状況を想定してみて、「そんなとき人はどう行動する?」ということを研究する学問のことです。
- ブロックチェーンが成り立つには、ノードやマイナーがルール通りに行動する必要があります。リーダー不在でもみんなが不正を働かないルールを考えるために、ゲーム理論が応用されています。
ゲームセオリー(ゲーム理論)とは
ゲームセオリー(ゲーム理論)とは、自分の行動次第で自分や他人の利益が変わる悩ましい状況を想定してみて、「そんなとき人はどう行動する?」ということを研究する学問のことです。
少し硬い表現ですが、ゲームセオリーは以下のようにも説明できます。
自分の利得が自分の行動の他、他者の行動にも依存する状況(ルール)において、登場する各プレイヤー(意思決定主体)がどのように判断するかを研究する。
例:囚人のジレンマ
有名なゲームセオリーに「囚人のジレンマ」があります。囚人のジレンマでは、以下のような条件を2人の囚人に提示します。
- 2人とも黙秘なら、2人とも少し得
- 1人だけ自白したら、自白した人だけすごく得
- 2人とも自白したら、2人とも損
そして、囚人がどんな行動を起こすのかを考えます。
「ビザンチン将軍問題」もゲームセオリーが元となって提起された課題です。
ブロックチェーンでも使われる
ゲームセオリーは経営や政治、コンピュータ科学などのさまざまな分野のルール作りなどに使われています。ブロックチェーンのルール作りの際も応用されています。
ブロックチェーンは暗号技術やコンセンサスアルゴリズムによって、中央管理者不在でも機能するネットワークを作っています。一見、ゲームセオリーは関係なさそうにも感じますが、ネットワークは各参加者(ノード)がルールに従うという前提のもとで実現します。
そのため、ゲームセオリーに基づいて、以下のようなことを感じさせるルールを作っています。
- 攻撃が成功すれば、大きく得したり嫌がらせができるけれど、失敗すると損をする
- ルールに従っていれば損をしない、得することもある
- だから攻撃するより、ルールに従うほうが無難だ(攻撃するなら別のネットワークにしよう)
ゲームセオリーに基づいて不正が発生しそうな場合は、事前にほどよいペナルティを設定しておくのです。
ビットコインのゲームセオリー
ビットコインマイナーの立場に立って、「不正を働くのと、誠実に振る舞うのではどちらが良いか」について考えてみましょう。
そのマイナーは不正を働く方法として、以下の2つを思いつきました。
- 「ブロックを作れました」と嘘をついて報酬をもらおうとする
- 全体の51%のハッシュレートを得る
良い例があまり思い浮かばず、、
一つ目の不正を試みると、マイナーは損をします。ブロックが正しく作られたかどうかは他のノードが監視しているので、見破られます。また、嘘をつくためには機器を用意したりする必要があるので、その労力の分だけ損です。
二つ目の不正を試みても、マイナーは損をします。全体の51%のハッシュレートを取得することがそもそも困難ですし、仮に取得できたとしても、ビットコインは機能しないネットワークになるのでBTCの価値が下がるので、損をします。
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